2020/09/15 02:03
現代社会では、便利なモノが生まれ、利便性を追求するあまり、面倒くさいことを拒み、自分の五感で感じることを怠っていませんか?
お金を得るために、仕事に疲れ、毎日を仕事のためだけに消費してしまってはいないでしょうか。
▼ Ashiがお伝えしたいことは、カンボジアの魅力やそこで感じたモノを持ち帰るということ。
私たちが身につけているモノ、食べているモノ、使っているモノ、どこから来て、誰が作ったモノかを考えながら買ったり、使ったりする人は多くないと思います。それってすごくもったいないことだなって思います。そんなことを考えることすら面倒くさいと思っている人に特に読んでいただきたいと思います。
僕たちの作っている「Ashi」は
カンボジアで作られています。世界遺産アンコールワットのある街、シェムリアップの片田舎で生産しています。
主な原材料はバナナの茎です。Ashiを生産している村の中のへインさんのお家にあるバナナの茎を刈り取って作っています。ときにはペイさんに「お家で大きくなりすぎたから購入してくれ」と言われ買ったりもしています。お金に困っているメイさんがちょっと高めに売ってきたりもします。
刈り取ってきたバナナの茎をひとつひとつ丁寧に剥がし、使える繊維だけを取り出し、3日間煮ます。繊維を取り出したり、煮る仕事をするのはソッさんやエムさんが担当しています。作業をしながら「今日は息子が学校で先生に怒られてねー。」「あそこの家のお坊ちゃんは市内のかわいいお嫁さんをもらったみたいよ。」そんな会話が聞こえてきます。
「こっちの切る作業も手伝ってよ!」工房を取りまとめているパウさんが時々困った顔をしています。
Ashiの工房で働いている方はもともとゴミの中から、使えるモノやリサイクルできるモノを拾って、生計を立てていた人たちです。働きはじめた頃はバナナから紙を作る技術もなければ、ミシンを使うこともできませんでした。それでも、日本から来てくれ、バナナペーパーを教えてくれた方のおかげで、ものづくりを始めることができました。唯一ミシン学校に通っていたキムさんの見よう見まねで商品を作り、改善し、世界中のお客さんの目につくマーケットでAshiの商品を作ることができるようになりました。
できた紙にデザインするのは日本人デザイナーの仕事です。
「カンボジアに来てくれた人にお土産として、思いつく限りカンボジア由来のデザインを描きましょう。」そう言って、一人で60個のデザインを作ってくれました。アンコールワット遺跡に行ったり、ローカル市場に買い物に行ったり、時には村での観察を通して、いろんなカンボジアをデザインしてくれました。
こうやってモノができあがるには遠い世界で、僕らとは全く違う環境で生きてきた人たち、人生の背景も違えば、話す言葉も違う。
そんな方達がいるからこそ、僕らは服を身にまとい、美しいアクセサリーで身を飾り、美味しいご飯を食べることができています。
モノが作られる過程には様々な人の人生があり、10円のモノにも、100万円のモノにも誰かの人生の物語が関わっているのです。
モノを買う時にそうやって少しでも想像力を広げ、知ることでそのモノ以上の価値を受け取ることができると考えています。
▼ 僕らの作っているAshiは生活を豊かにするモノではない
iPhoneや自動お掃除ロボット、ルンバ、ポケットがたくさんあるカバンのように僕らの作っているモノには利便性はありません。こうやって断言するのはものづくりに携わる一人としては作れないことからの逃げのようで嫌な時期もありました。もっと便利で人の生活を豊かにするようなモノを作ってみたい。そんなことを思った時期もありました。
でも僕らには、モノを作る過程を一緒にお届けすることで、利便性とは別に「人の心を豊かにするようなモノ」を作れると確信しています。ペイさんの家から持ってきたバナナの茎をエムさんが紙にし、パウさんがミシンで裁縫する。カンボジアを想うデザイナーがカンボジアのエッセンスをデザインし、販売する。
異国の地で作ったモノかもしれませんが、日本でAshiの商品を買った方がペイさんの顔を想像したり、パウさんの手による商品のシワを手で感じることができます。見たこともないドラゴンフルーツやヤシの木をデザインを通して想像したりすることもできます。
僕たちは人々の生活を豊かにすること商品を作れてはいませんが、人の心を豊かにする商品を作っています。